相談内容
Bさん(60歳)は関西地方のM市にある実家で、妻と母とともに暮らしています。B家は代々工務店を営んでおり、現在も母Cさん(87歳)が経営していますが、高齢のため事業の縮小を検討しています。
最近、Bさんの長男Fさん(35歳)から、3人目の子どもが生まれることを機に、エコ住宅基準を満たす広い戸建て住宅を購入したいとの相談がありました。しかし、住宅価格が上昇しているため、現在のマンションを売却しても約3,500万円の資金が不足するため、援助をお願いしたいという内容でした。
Bさんは何とか援助してあげたいと考えましたが、手持ちの資金では対応できないため、母Cさんに相談しました。すると、母Cさんから「乙土地の一部を譲るので、それを売却して資金を用意してはどうか」との提案がありました。
乙土地の概要
乙土地はM市の再開発事業の区域内にあり、現在工事が進行中で、2025年10月に完成予定です。以前は駐車場として利用されていましたが、現在は使用停止となっています。
母Cさんのもとには、地元の不動産業者Y社から具体的な買収提案が出されており、以下の条件が提示されています。
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現状のままで坪当たり55万円で即購入可能
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乙土地の一部(180㎡または360㎡単位)での売却も可能
この地域は、新駅開業に伴い再開発が進んでおり、すでに完成した周辺地域では、駅周辺の取引価格が35万円/㎡(約115万円/坪)を超えていることから、不動産業者の関心が高まっています。
Bさんの意向と懸念
Bさんは、母Cさんの厚意に甘え、生前贈与によって乙土地を取得し、Y社に売却して3,600万円を用意し、長男Fさんへ贈与することを検討しています。この件については、妻、妹Dさん(58歳)、次男Gさん(32歳)にも説明し、了解を得ています。
ただし、以下の点について懸念があり、専門家のアドバイスを求めています。
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乙土地を取得・売却する際の法的・税務上の注意点
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再開発事業地の土地を分割・売却する手続き
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長男Fさんへの贈与に関する税制の適用
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必要な専門家の関与と手続きの進め方
FPのアドバイス
1. 乙土地の取得・売却に関する確認事項
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乙土地の取得費および取得日の確認(登記簿謄本や契約書など)
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再開発事業に関する通知書や都市計画の確認
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Y社の買収提案の詳細および市場価格との比較
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Bさんの保有資産やライフプランへの影響
また、FPとして以下の調査も必要です。
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現地確認:土地の接道状況や境界の確認
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法務局での権利関係の確認
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自治体の都市計画課での用途地域・建蔽率・容積率の確認
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再開発事業の進捗状況と地価の推移の調査
2. 乙土地の分割・売却手続き 乙土地を分割して売却する場合、以下の手続きが必要となります。
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自治体の再開発事業課に分筆の相談
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測量士による地積測量図の作成
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法務局で分筆登記の申請
3. 税務上の留意点
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Bさんが乙土地を取得し、売却する場合
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売却価格から取得費を控除した金額に対し、譲渡所得税(20.315%)が発生
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「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡」に該当すれば、譲渡益の2,000万円以下の部分に14.21%の軽減税率が適用可能
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BさんがFさんに3,600万円を贈与する場合
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住宅取得資金の贈与特例(1,000万円まで非課税)
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相続時精算課税制度を利用すれば最大2,610万円まで非課税
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贈与税の基礎控除(110万円)を考慮した贈与計画の検討
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乙土地をそのままFさんに贈与する場合
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相続税評価額の確認と遺留分への影響を考慮
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Fさんが将来売却する際の譲渡所得税負担を検討
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4. 関与すべき専門家 今回の案件には、以下の専門家の助言を受けることが望ましいでしょう。
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税理士:譲渡所得税や贈与税の試算と節税対策
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不動産鑑定士:乙土地の市場価値評価
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宅地建物取引士:土地売買契約のアドバイス
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土地家屋調査士:分筆登記の手続き
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司法書士:登記関連手続きの対応
まとめ
Bさんの計画は、乙土地の売却益を活用して長男Fさんを支援する有効な方法ですが、税務や手続きの面で慎重な検討が必要です。土地売却のタイミングや税負担の軽減策、贈与の方法について適切な専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズな資金計画を立てることができるでしょう。