2022年度(22年4月-23年3月)の建設業における倒産は1291件と大幅に増加しました。これは、コロナ融資や政府の資金繰り支援策によって建設業の倒産が一時的に低下していたにも関わらず、建設業者が抱える三重苦が原因であると考えられます。具体的には、工期の長期化、人手不足、資材価格の上昇が、中小建設業者の経営を圧迫しています。
まず、工期の長期化についてですが、建設資材の品不足や価格の急騰により、工事原価が上昇しています。これにより、建設業の倒産において物価高を要因とする割合が徐々に高まっています。工期の延期による悪循環が発生しやすくなり、中小建設業者の倒産を押し上げる要因となっています。
次に、人手不足です。業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職が目立ち、事業運営が困難になっているケースが多いです。人手不足は建設業界全体で深刻化しており、中小建設業者にとって大きな課題となっています。
さらに、資材価格の上昇も建設業界に大きな影響を与えています。鉄骨や木材、給湯器など多岐にわたる建設資材の価格が急騰しており、これが経営に悪影響を及ぼしています。特に中小規模の企業においては、コストの増加分を価格に転嫁することが難しく、倒産リスクが高まっています。
今後、建設業界では、賃上げ圧力やゼロゼロ融資の返済ピークが迫っており、中小建設業者にとって厳しい状況が続くことが予想されます。政府や業界団体は、中小建設業者がこれらの困難に対処できるような支援策を検討する必要があります。例えば、資材価格の上昇に対応するための補助金制度や、人手不足解消に向けた技能習得支援プログラムなどが考えられます。
また、建設業界自体も変革が求められています。労働力不足を解決するためには、働き方改革や労働環境の改善が不可欠です。業界全体で働きやすい環境を整備することで、若者や女性の参入が促進され、長期的な人手不足問題に対処することができるでしょう。
さらに、建設業界ではデジタル技術の導入や、効率的なプロジェクトマネジメントの推進が求められています。これにより、建設プロセスの効率化やコスト削減が実現し、中小建設業者の経営を支援することができます。
まとめると、建設業界が直面する三重苦は、中小建設業者にとって大きな課題となっています。政府や業界団体の支援策、働き方改革、デジタル技術の導入などを通じて、中小建設業者がこれらの困難に立ち向かえるような環境を整えることが求められます。これらの取り組みが実施されれば、建設業界全体が持続可能な成長を遂げることができるでしょう。