全国の自治体で書店が1つもない「書店ゼロ」の割合は26.2%にも上り、電子書籍やインターネット通販の普及により書店の数は年々減少しています。しかし、そんな厳しい状況の中でも、成長し続ける書店が存在します。その中でも注目されるのが、茨城・つくば市にある大型複合書店「コーチャンフォー」です。今回は、この書店の生き残り策を取り上げます。
(テレ東BIZより)「コーチャンフォー」は、広々とした店舗で売り場面積が2000坪あり、書籍コーナーの半分を文具コーナーが占めています。また、日本一の面積を誇るドトールコーヒーも入っており、国内最大級の大型複合書店となっています。
運営するリラィアブルの近藤隆史専務によると、「お客様には幅広い年齢の方がいらっしゃいますので、滞在時間を長くしていただくことで、また欲しいものを新たに見つけていただく、宝探しのようなイメージをしております」とのこと。
(テレ東BIZより)さらに、書籍売り場のすぐ横にはCDやDVDのコーナーがあり、その先には冷蔵品も含めた食品売り場があるという、まさに複合型の大型店舗と言えます。
北海道発の大型書店チェーンであるコーチャンフォーは、書店の閉店が相次ぐ中でも順調に売り上げを伸ばし続けています。その秘訣について、近藤専務は「ランニングコスト、家賃、水道光熱費が経営を非常に圧迫している。自社ビルを建てることで、ランニングコストを下げる努力をしている。私どもの知恵を出せる、一つの利点」と説明しています。
(テレ東BIZより)今後も大型の複合型店舗の書店には勝機があるとして、「書店だけだと厳しい。ここで得たいろんなノウハウ・スキルを次の店は早速検討したい」と近藤専務は意気込んでいます。
同じく全国で店舗を相次ぎ閉店しているTSUTAYAも、昨年12月に東京・丸の内に新たな店舗をオープンしました。こちらも国内最大級のシェアラウンジを併設し、ビジネスエリアを意識した店作りが施されています。さらに、4月8日には九州大学との産学連携を視野に入れた研究施設を併設した店舗がオープン予定であり、地域のニーズに合った複合型の大型店舗への切り替えが進んでいます。
これらの事例から、書店が生き残るためには、単なる書籍の販売だけでなく、文具や飲食、エンターテイメント、ビジネスエリアや学術研究など、さまざまな分野と連携し、地域に根ざした複合型の大型店舗として差別化を図ることが重要であることが分かります。
今後の書店業界は、こうした独自の戦略を持った書店が台頭することが予想されます。地域に密着し、多様なニーズに応えることができる書店が、厳しい市場環境の中で生き残りをかけた競争に勝ち残る鍵となるでしょう。