立憲民主党の小西洋之参院議員が衆院憲法審査会の毎週開催を「サルのやること」と発言したことが、同党と日本維新の会の国会共闘に亀裂を生じさせている。維新は小西氏に正式な謝罪を要求し、応じるまで共闘を凍結すると宣言。一方、立憲民主党内には小西氏擁護論も根強い。問題が長引けば、かつての「犬猿の仲」に戻りかねない状況だ。
立憲民主党の泉健太代表は4月7日の記者会見で、小西氏問題への対応について、「(岡田克也)幹事長のところで党の規約に基づいて考えている」と述べ、明言を避けた(時事通信より)。指導力を発揮しないのかと問われると、参院憲法審の野党筆頭幹事から既に更迭したと強調した。
日本維新の会が「サル」発言に反発するのは、早期の憲法改正を目指し、憲法審の毎週開催をけん引してきた自負があるためだ。発言は与党だけでなく、維新にも向けられたものと受け止めており、維新内には「筆頭幹事更迭だけでは甘すぎる。誠意が足りない」(関係者)と不満が渦巻いている。
一方で、小西氏は3月30日の会見で、「サル」発言を報じたメディアを非難しつつも、「不快な思いをした方々」に陳謝した。しかし、4月5日の参院憲法審では維新から求められても、謝罪しなかった。
維新の馬場伸幸代表は4月6日の衆院憲法審幹事会で「本当に申し訳ない気持ちがあるのか。むしろ『ない』と判断している」と断じ、衆院の幹事会での小西氏の謝罪と説明を立憲民主党に要求した(時事通信より)。記者団に「信頼関係は完全に損なわれた。問題が解決しない限り、協調は当面凍結する」と表明した。
現在、小西氏は党参院政策審議会長や参院憲法審委員を続けている。維新内には、これらの役職からも外すべきだとの声がある。
立憲民主党執行部は、日本維新の会と立憲民主党内擁護派との間で板挟みの状態にある。有効な戦術と評価される国会共闘を継続するためには、維新への配慮が必要だ。一方で、立憲民主党内には左派を中心に「小西氏を守れ」(閣僚経験者)との声も強い。党中堅は「厳しく対処すれば、ゴタゴタは避けられない」と懸念している。
立憲民主党議員の事務所には支持者から、早急な処分を求める声と擁護する声が電話などで寄せられているという。立憲民主党の若手議員は、「このままでは衆参5補欠選挙や統一地方選に影響しかねない」と不安を口にしている。党内からも、この問題が将来の選挙に影響を与えかねないという懸念が漏れている。
この問題がどのように解決されるか、今後の政治家たちの対応が注目されている。立憲民主党と日本維新の会が共闘を続けることができるかどうか、今後の国政にも影響を与えることになるだろう。