2025年4月23日、東京株式市場で日経平均株価は一時3万5000円の大台を回復し、前日比で900円超の急反発となりました。背景にあるのは、トランプ米大統領の“柔らかい”発言と、対中関税緩和の観測です。ただし、相場の先行きはなお不透明です。
📈 チャートで見る:日経平均、一時3万5000円回復の瞬間

短期的な買いが集中し、心理的節目を突破しましたが、その後はやや戻り売りも見られています。
トランプ発言が火種に:FRB議長解任否定と対中関税緩和
ブルームバーグによると、トランプ大統領は「パウエルFRB議長の解任意図はない」と語りました。これを受け、ドルが買われ、円安が進行。輸出関連株への買いを誘い、日経平均の急反発に直結しました。
さらに、トランプ氏は対中関税について「見直しを検討中」との姿勢を見せ、米中摩擦の緩和期待が急速に広がりました。米国のベッセント財務長官も「関税戦争は持続不可能」として対話の姿勢を強調しています。
安川電機が午前中に反発──投資家心理に変化?
安川電機は、先日発表した決算内容が市場の期待を下回ったことで一時ストップ安となりましたが、23日午前には大きく反発する動きが見られました。
これは、短期的な売り過剰の反動に加え、全体相場の改善や円安による収益期待が背景にあるとみられます。こうした個別株の反発が市場心理にポジティブな影響を与える可能性もあります。
IMFも懸念:世界成長率は2.8%へ下方修正
IMF(国際通貨基金)は4月22日、2025年の世界成長率予測を1月時点の3.3%から2.8%へと引き下げました。アメリカを含む全地域で下方修正されており、関税政策による貿易・投資の停滞が背景にあります。
これにより、国際資本の流れが鈍化し、特に新興国や輸出依存の高い日本企業には逆風となる可能性があります。
情報名:World Economic Outlook, April 2025 – Press Release
今後の注目ポイント:決算とトランプ政権の真意
現在の上昇は、あくまで「一時的な安心感」に過ぎません。今後の相場の鍵を握るのは、トランプ政権の関税政策の実行性と、日本企業の決算内容です。
大型連休明けにかけて、3月期本決算の発表が相次ぐ中で、もし通期見通しが出そろわない、あるいは悲観的な内容が増えた場合には、今回の上昇が「戻り売りの好機」となるリスクも否定できません。
📌 編集部コメント|FPTRENDYの視点
市場は「ヘッドライン」に踊らされがちですが、本質的な企業価値や中期的なマクロ環境を見極める力が試されています。トランプ政権の“軟化姿勢”が一過性に終わるか、政策転換の本気度が問われる局面です。