📰 半導体決算が市場を動かす|2025年4月17日の東京市場まとめ
2025年4月17日の東京株式市場は、台湾の半導体大手TSMCが午後に発表した2025年1〜3月期決算が市場予想を上回る好内容だったことを受け、半導体関連銘柄を中心に買い注文が広がった。これをきっかけに日経平均株価は大幅に反発し、TOPIXも堅調に推移した。
また、外国為替市場では1ドル=142円台後半まで円安が進行。これも輸出関連株を中心とした買いの一因となった。市場関係者の間では「TSMCの決算は市場予想を上回る好内容となったが、株価の反応は限定的で、決算発表による期待の一巡がうかがわれた」との声が聞かれた。
以下では、主要な半導体関連株や指数のチャートをもとに、マーケットの反応を振り返る。
🇹🇼 TSMCの決算詳細(2025年1〜3月期)
TSMC(台湾積体電路製造)は4月17日に2025年1〜3月期決算を発表し、純利益が前年同期比+60%の3615億台湾ドルとなり、市場予想(3528億台湾ドル)を上回った。
売上高は8392億台湾ドル(+41.6%)で、米ドル換算では255億2600万ドルとなり、同社の予想レンジ(250〜258億ドル)の範囲内。高性能コンピューター(HPC)向け半導体の需要が好調だったことが寄与した。
4〜6月期の売上高見通しは284〜292億米ドル(前期比+13%増見込み)で、売上高総利益率は57〜59%と、ややのび悩む見通し。通期では20%台半ばの成長を維持する方針を示した。
AI関連の需要増加に対応するため、アリゾナ工場への追加投資(1000億ドル)や、熊本工場の稼働による採算改善も見込んでおり、今後の生産拡大に期待が集まっている。
🇯🇵 ディスコの決算詳細(2025年3月期)
ディスコ(6146)は4月17日に2025年3月期の通期決算を発表し、純利益は前期比+47%の1238億円と過去最高を記録した。売上高は3933億円(+28%)、営業利益は1668億円(+37%)となり、いずれも好調な結果となった。
主力製品であるパワー半導体や生成AI向けのダイサー(切断装置)などの需要が高水準で推移し、高付加価値案件や円安進行も業績を押し上げた。
一方、2025年4〜6月期(第1四半期)の見通しでは、売上高が750億円(前年同期比▲9%)、営業利益が238億円(▲29%)、純利益が167億円(▲30%)と、前期の駆け込み需要の反動で減益を見込んでいる。
引き続き生成AI関連需要は堅調と見られるが、米国の関税政策や顧客の投資意欲の変化が不透明要因となっており、慎重な姿勢が求められる局面となっている。
📈 市場全体の動きと主要指標(2025年4月17日)
- 日経平均株価:終値 3万4377円60銭(前日比 +457円20銭)
- 東証株価指数(TOPIX):終値 2530.23(+32.20)
- 東証プライムの出来高:15億6634万株
外国為替市場では、円相場が1ドル=142円台後半まで下落し、円安が進行。輸出関連株への買いが支えとなった。また、TSMCの決算発表を受けた半導体関連株への期待が相場を押し上げる大きな要因となった。
📉 ディスコ(6146)日足チャート

ディスコは過去最高益を発表したことを受けて、+2.14%の上昇で引けた。ただし、4〜6月期の減益見通しが同時に発表されたため、上値は重く、決算内容に対する評価は分かれる展開となった。
📉 アドバンテスト(6857)日足チャート

アドバンテストはTSMC決算を受けて買いが集まり、終値は+3.49%と大きく反発。直近の下落基調からの自律反発の動きと見られ、決算好感による業界全体の見直し買いも追い風となった。
📉 TSMC(NYSE:TSM)日足チャート

TSMCは市場予想を上回る好決算を発表したものの、株価は小幅上昇にとどまり、終値は+0.10%(151.82ドル)。内容自体は好調だったが、決算内容は既にある程度織り込まれていたとの見方もあり、派手な反応は見られなかった。
📈 東証株価指数(TOPIX)日足チャート

TOPIXは反発基調が続き、+1.29%の上昇。TSMC決算や日米関税交渉の進展期待が安心感につながり、広範な買いを誘った。
📉 フィラデルフィア半導体株指数(SOX)日足チャート

米SOX指数は0.64%安の3832.47と小幅に反落。TSMC決算後も力強い買い戻しにはつながらず、半導体セクター全体への過度な期待感は後退している様子。ただし、下値は徐々に固まりつつあるとの声も。
🧠 おわりに|“決算は好調”でも油断できない半導体株の行方
TSMCとディスコの決算はともに好調な内容となり、成長分野としての半導体需要の強さが改めて浮き彫りとなった。一方で、株価の反応はまちまちであり、業績が織り込み済みと判断されれば、短期的な調整に入る可能性もある。
また、アメリカの関税政策や為替の変動、AI需要の波といった外部要因の影響も大きく、今後の株価動向を予測するには総合的な視点が欠かせない。
今後の注目ポイントは以下の通り:
- 米中貿易摩擦や関税政策の動向
- TSMCをはじめとするグローバル半導体企業の設備投資計画
- 日本企業の1Q決算発表で見えてくる受注動向
- 円安・ドル高が輸出関連に与える影響
引き続き、数字だけでなく“市場の受け止め方”にも目を向けた判断が求められる。