人が亡くなったあと、遺された家族には多くの手続きが待っています。通夜や葬儀など感情的に大きな負担がある中で、行政手続きや相続税の申告・納付など、時間との戦いとなるものも少なくありません。
ここでは、死亡後から相続税の申告・納付までの流れを、時系列でわかりやすく解説します。
各手続きや制度には記載外の細かな規定等もありますが、この記事では大まかな説明で流れを掴んでください。
目次
🕊️ 第1章:死亡直後(1週間以内)に行う手続き
通夜・葬儀の準備と執行
大切な人を送り出す儀式として、通夜・葬儀は多くの方がまず思い浮かべる行事です。
- 喪主の決定
- 葬儀社の選定と打ち合わせ
- 会場の手配、僧侶・神職などへの依頼
- 親族・参列者への連絡
- 通夜 → 葬儀・告別式 → 火葬の流れが一般的
死亡届の提出(7日以内)
死亡日を含めて7日以内に提出する必要があります。
- 届出人:親族、同居人、後見人など
- 提出先:死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村
- 死亡診断書または死体検案書が必要
火葬許可証の取得
死亡届と同時に申請。これがないと火葬できません。
各種証明・返納手続き
- 健康保険証、運転免許証などの返納
- 世帯主変更届(住民票のある役所へ)
- 年金受給者の場合、年金事務所への死亡届(国民年金法第104条等)やマイナンバーカードの返納も必要。
📜 第2章:死亡後〜49日までに行う準備(1〜2か月以内)
遺言書の有無を確認
- 公正証書遺言:公証役場にて確認
- 自筆遺言:家庭裁判所で検認が必要
- 但し2020年7月開始の法務局保管制度(自筆遺言書保管制度)では検認不要。
※遺言書に関しては様々な形態制度があるので別途記事にします。
相続人の調査
- 戸籍の収集(出生から死亡まで)
- 法定相続人を確定するために必要
財産の棚卸し
- 預貯金、不動産、株式、生命保険、借金など
- 「プラスの財産」も「マイナスの財産」も確認
- デジタル資産(例:暗号資産、SNSアカウント)や海外資産の確認など
相続放棄・限定承認の検討(3か月以内)
- 相続人が借金を背負うのを避けるための手段
- 家庭裁判所への申述が必要
- 熟慮期間の延長申請(民法第915条第2項)が可能なケースや、相続放棄後の再相続不可など
法要の準備
- 四十九日法要の準備と執行
- 香典返しの準備もこの時期が一般的
- 宗教差(例:神道の五十日祭)や香典返しに地域差あり
🧾 第3章:3か月以内に判断すべきこと
相続の承認・放棄の意思決定
- 相続を受けるかどうかは、原則として死亡を知った日から3か月以内に判断
相続放棄・限定承認の手続き
- 相続放棄:一切の権利・義務を放棄
- 限定承認:プラスの財産の範囲内で債務を承継
🧮 第4章:4か月以内に行う準確定申告
被相続人の所得税の申告(準確定申告)
- 亡くなった年の1月1日〜死亡日までの所得を申告
- 相続人が連名で提出
- 申告・納税の期限は死亡日から4か月以内
💰 第5章:10か月以内に行う相続税の申告と納付
相続財産の評価と遺産分割協議
- 不動産、株式、事業用資産などの評価を行う
- 相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合い
遺産分割協議書の作成
- 各人の署名・実印・印鑑証明書が必要
- 名義変更や申告時に必要不可欠
相続税の申告と納付(10か月以内)
- 被相続人の死亡日から10か月以内に税務署へ
- 原則、現金一括納付。延納や物納も条件付きで可能
🏁 第6章:名義変更や相続手続きの完了
各種名義変更
- 不動産登記(法務局)
- 預金の払い戻しと名義変更
- 株式・自動車の名義変更
- 生命保険金・死亡退職金の請求など
遺産の分配と相続人の今後の注意点
- 各人の取得財産に応じた税務管理が必要
- 相続財産に含まれない保険金や贈与についても要確認
🧑💼 専門家の活用とスケジュール管理のすすめ
相続手続きは期限が決まっており、特に3か月・4か月・10か月のタイミングが重要です。スムーズに進めるためには、次のような専門家のサポートが有効です。
- 税理士:相続税評価・申告
- 弁護士:遺産分割・争続対策
- 司法書士:登記手続き
チェックリストやスケジュール表を使って、手続きの進捗を管理するのもおすすめです。