【5月1日発表】主要企業決算まとめ|総合商社5社、資源安と株主還元を点検
2026年5月1日は、総合商社大手の決算短信がそろって開示されました。本記事では、伊藤忠、丸紅、三菱商、住友商、三井物の2026年3月期決算短信をもとに、業績、キャッシュフロー、株主還元、来期見通しを整理します。
各社はいずれもIFRSを採用しています。丸紅と伊藤忠は短信上で「営業利益」を自主的に表示していますが、三菱商、住友商、三井物は連結サマリー上の主要利益指標として「税引前利益」を開示しているため、該当箇所では税引前利益を掲載します。
決算ポイント
伊藤忠(証券コード:8001)
業績サマリー
伊藤忠の2026年3月期連結業績は、収益が14兆8,231億円(前期比+0.7%)、営業利益が7,019億円(+2.6%)、税引前利益が1兆1,995億円(+3.8%)、当社株主に帰属する当期純利益が9,003億円(+2.3%)でした。
売上総利益は2兆4,805億円、販売費及び一般管理費は1兆7,632億円、持分法による投資損益は3,235億円でした。営業利益は「売上総利益」「販売費及び一般管理費」「貸倒損失」を合計した同社の自主表示です。
セグメント別業績
短信の事業セグメント情報では、外部顧客からの収益と当社株主に帰属する当期純利益が次の通り開示されています。
財務指標
総資産は16兆7,328億円、資本合計は7兆1,883億円、株主資本は6兆5,900億円、株主資本比率は39.4%でした。減価償却費等は4,587億円で、研究開発費は短信内で明示数値を確認できませんでした。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは1兆1,318億円の収入、投資活動によるキャッシュフローは3,889億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは7,265億円の支出でした。現金及び現金同等物の期末残高は5,938億円です。
株主還元
2026年3月期の配当は中間100円、期末22円です。同社は2026年1月1日付で1株を5株に分割しており、年間配当合計は分割を考慮しない場合210円、考慮する場合42円と注記されています。自己株式は期末で934,534,834株、期中に901,362,300株の取得が開示されています。
来期予想
2027年3月期は、当社株主に帰属する当期純利益9,500億円(前期比+5.5%)を見込みます。中間・期末配当は各22円、年間44円の予想です。
丸紅(証券コード:8002)
業績サマリー
丸紅の2026年3月期連結業績は、収益が8兆2,658億円(前期比+6.1%)、営業利益が2,567億円(△5.7%)、税引前利益が6,645億円(+5.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益が5,439億円(+8.1%)でした。
売上総利益は1兆1,827億円、持分法による投資損益は3,383億円でした。営業利益はIFRSで求められる表示ではなく、売上総利益、販売費及び一般管理費、貸倒引当金繰入額の合計として同社が表示しています。
セグメント別業績
親会社の所有者に帰属する当期利益のセグメント別内訳では、金属、金融・リース・不動産、食料・アグリが大きな利益源でした。
財務指標
総資産は10兆5,318億円、資本合計は4兆5,138億円、親会社の所有者に帰属する持分は4兆3,637億円、親会社所有者帰属持分比率は41.4%でした。減価償却費等は2,091億円、有形固定資産の取得による支出は1,535億円でした。研究開発費は短信内で明示数値を確認できませんでした。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは5,354億円の収入、投資活動によるキャッシュフローは1,180億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは4,662億円の支出でした。現金及び現金同等物の期末残高は5,511億円です。
株主還元
2026年3月期の配当は中間50.00円、期末57.50円、年間107.50円でした。2027年3月期は中間57.50円、期末57.50円、年間115.00円の予想です。期末自己株式数は22,361,446株でした。
来期予想
2027年3月期は、親会社の所有者に帰属する当期利益5,800億円(前期比+6.6%)を見込みます。セグメント別では金属1,530億円、食料・アグリ880億円、金融・リース・不動産760億円などが示されています。
三菱商(証券コード:8058)
業績サマリー
三菱商の2026年3月期連結業績は、収益が18兆9,160億円(前期比+1.6%)、税引前利益が1兆961億円(△21.3%)、当期利益が9,167億円(△14.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益が8,005億円(△15.8%)でした。
連結サマリーでは日本基準の営業利益・経常利益に相当する項目は掲示されていないため、本記事では税引前利益を主要利益指標として掲載します。
セグメント別業績
事業セグメント別の当期純利益は次の通りです。
財務指標
総資産は24兆1,517億円、資本合計は10兆2,506億円、親会社の所有者に帰属する持分は9兆4,406億円、親会社所有者帰属持分比率は39.1%でした。減価償却費等は3,978億円でした。研究開発費は短信内で明示数値を確認できませんでした。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは1兆4,900億円の収入、投資活動によるキャッシュフローは4,486億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは8,047億円の支出でした。現金及び現金同等物の期末残高は1兆8,415億円です。
株主還元
2026年3月期の配当は中間55.00円、期末55.00円、年間110.00円でした。2027年3月期は中間62.00円、期末63.00円、年間125.00円の予想です。期末自己株式数は367,427,682株でした。
来期予想
2027年3月期は、親会社の所有者に帰属する当期利益1兆1,000億円(前期比+37.4%)を見込みます。基本的1株当たり当期利益は300.42円の予想です。
住友商(証券コード:8053)
業績サマリー
住友商の2026年3月期連結業績は、収益が7兆3,373億円(前期比+0.6%)、税引前利益が7,020億円(+0.9%)、当期利益が6,503億円(+6.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益が6,003億円(+6.8%)でした。
連結サマリーでは日本基準の営業利益・経常利益に相当する項目は掲示されていないため、本記事では税引前利益を主要利益指標として掲載します。
セグメント別業績
親会社の所有者に帰属する当期利益のセグメント別内訳は次の通りです。
財務指標
総資産は13兆6,383億円、資本合計は4兆7,352億円、親会社の所有者に帰属する持分は4兆6,286億円、親会社所有者帰属持分比率は33.9%でした。減価償却費及び無形資産償却費は2,276億円、有形固定資産の取得による支出は1,059億円でした。研究開発費は短信内で明示数値を確認できませんでした。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは8,135億円の収入、投資活動によるキャッシュフローは1,559億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは2,525億円の支出でした。現金及び現金同等物の期末残高は1兆54億円です。
株主還元
2026年3月期の配当は中間70.00円、期末80.00円、年間150.00円でした。2027年3月期は中間20.00円、期末20.00円、年間40.00円の予想です。2026年7月1日を効力発生日とする1株を4株に分割する予定で、株式分割を考慮しない場合の2027年3月期予想年間配当は160.00円です。期末自己株式数は18,766,168株でした。
来期予想
2027年3月期は、親会社の所有者に帰属する当期利益6,300億円(前期比+4.9%)を見込みます。基本的1株当たり当期利益は132.06円の予想です。
三井物(証券コード:8031)
業績サマリー
三井物の2026年3月期連結業績は、収益が13兆9,952億円(前期比△4.6%)、税引前利益が1兆871億円(△4.2%)、当期利益が8,643億円(△6.2%)、親会社の所有者に帰属する当期利益が8,340億円(△7.4%)でした。
連結サマリーでは日本基準の営業利益・経常利益に相当する項目は掲示されていないため、本記事では税引前利益を主要利益指標として掲載します。
セグメント別業績
事業セグメント別の収益と親会社の所有者に帰属する当期利益は次の通りです。
財務指標
総資産は20兆8,215億円、資本合計は9兆179億円、親会社の所有者に帰属する持分は8兆7,677億円、親会社所有者帰属持分比率は42.1%でした。減価償却費及び無形資産等償却費は3,332億円でした。研究開発費は短信内で明示数値を確認できませんでした。
キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは9,529億円の収入、投資活動によるキャッシュフローは1兆335億円の支出、財務活動によるキャッシュフローは269億円の収入でした。現金及び現金同等物の期末残高は9,827億円です。
株主還元
2026年3月期の配当は中間55.00円、期末60.00円、年間115.00円でした。2027年3月期は中間70.00円、期末70.00円、年間140.00円の予想です。期末自己株式数は30,478,349株で、連結持分変動計算書には自己株式の取得2,000億円が記載されています。
来期予想
2027年3月期は、親会社の所有者に帰属する当期利益9,200億円(前期比+10.3%)を見込みます。基本的1株当たり当期利益は324.61円の予想です。
経済テーマで読む
2026年3月期の総合商社決算では、資源価格やエネルギー事業の反動が利益を押し下げた会社がある一方、非資源、金融・不動産、インフラ、デジタル関連の収益貢献が下支えしました。伊藤忠は純利益9,003億円と増益を確保し、住友商も6,003億円まで伸ばしました。丸紅は金属や金融・リース・不動産が寄与し、純利益5,439億円となりました。
三菱商と三井物は純利益が減少しましたが、いずれも来期は増益を見込んでいます。配当面では、三菱商が年間110円から125円、三井物が115円から140円、丸紅が107.50円から115円への増配予想を示しました。伊藤忠と住友商は株式分割の影響があるため、分割後ベースの配当額として読む必要があります。
まとめ
5社の決算は、資源・エネルギー市況の変動を受けつつも、各社が非資源分野や金融、インフラ、デジタル、生活関連で収益基盤を広げていることを示しました。来期予想では5社すべてが親会社帰属利益の増益を見込んでおり、株主還元も増配予想や自己株式取得を通じて継続されています。
※本記事の数値は各社決算短信原文に基づきます。投資判断は各自の責任で行ってください。

