4月30日朝時点の主なマーケット・経済ニュースを整理します。FRBのFOMC結果、米国株・金利・為替、ホルムズ海峡をめぐる地政学リスク、米ハイテク企業の決算、日本株・日銀関連の注目点を中心にまとめました。
FOMCは政策金利を3会合連続で据え置きました。一方、ドル円は160円台で推移し、原油高や中東情勢、AI関連決算、日銀の利上げ観測が市場の主な焦点となっています。
米国金融政策・FRB
FOMC、政策金利を3会合連続で据え置き
FRBは29日まで開いたFOMCで、政策金利を3.5%〜3.75%の範囲に据え置いた。政策金利の据え置きは3会合連続となる。
今回の決定では4人が反対票を投じた。4人の反対が出たのは1992年以来とされ、FOMC内部で金融政策をめぐる見方の分断が続いている。
パウエル議長、議長退任後もFRB理事に残留へ
パウエル議長は、5月15日にFRB議長としての任期を終えた後も、当面はFRB理事として職務を続ける意向を明らかにした。
理事としての任期は2028年1月末までだが、退任時期については「適切な時期」とするにとどめている。一方、次期FRB議長候補については、上院の銀行・住宅・都市委員会が賛成多数で承認しており、来月半ばにも就任する見通しとなっている。
パウエル議長が理事として残ることで、政権側が新たに理事を指名する余地は当面限られる可能性がある。
FOMC声明、利下げ示唆をめぐり意見が分かれる
今回のFOMCでは、政策金利の据え置きだけでなく、声明文の表現も焦点となった。
声明には、今後の「追加的な調整の程度と時期」を検討するとの文言が残された。この表現は、次の政策変更が利下げであるかのように受け止められる可能性がある。
一方で、この文言に反対する参加者もいた。0.25ポイントの利下げを主張する意見がある一方、インフレリスクを重視し、利下げ方向を示唆する表現に慎重な意見もあり、FOMC内の見解は分かれている。
FRB、原油高と中東情勢を警戒
FRBは、中東情勢をめぐる不確実性が高まっているとの認識を示している。原油価格の上昇が物価を押し上げるリスクも意識されている。
ただし、原油価格や関税による足元の物価上昇については、基調的なインフレの変化ではなく、一時的な押し上げ要因とみる考え方もある。
そのため、現時点では次の政策変更を急ぐ局面ではなく、経済指標や物価動向を見極める局面にあるという見方がある。
FRBの政策運営は転換点を迎える可能性
今回のFOMCは、パウエル議長にとって議長として最後のFOMCとなる可能性がある。また、次期議長候補はFRBの体制転換を掲げているとされ、これまでのFRB運営とは異なる方向に向かう可能性がある。
これまでのFRBは、政策金利、フォワードガイダンス、バランスシート政策をめぐり、透明性と市場とのコミュニケーションを重視してきた。
今後は、ドットチャートを含めた情報発信のあり方が見直される可能性もあり、市場の変動性が高まりやすくなるとの見方がある。
米国市場・金利・商品
NY株式市場、ダウは5日続落
29日のニューヨーク株式市場では、ダウ平均が5日続落し、280ドル安の48,861ドルで取引を終えた。
280ドル安
9ポイント高
2ポイント安
セクター別では、エネルギーが2%を超える上昇となった一方、公益や素材は下落した。
米長期金利は上昇、原油先物は3日続伸
FOMC後の米債券市場では、FRBが原油高への警戒を強めているとの受け止めから、金利が上昇した。
10年債利回りは4.430%、2年債利回りは3.947〜3.949%で推移した。
ニューヨーク原油先物は、アメリカとイランの戦闘長期化への警戒感から大幅に上昇し、3日続伸した。一方、金先物は3日続落した。
欧州市場は軟調、ドイツ株は8日続落
欧州市場では、イギリス株が反落し、ドイツ株は8日続落した。
日経平均先物は、シカゴ市場で58,915円、大阪取引所の夜間取引で58,670円となった。
為替・円相場
ドル円は160円台で推移
ドル円は160円台前半から40銭台で推移した。ニューヨーク時間には、米金利の上昇を背景にドル高・円安が進んだ。
足元のドル円上昇については、日米2年金利差の拡大に沿った動きという見方がある。
原油価格の上昇により、アメリカでは利下げ期待が後退し、金利が上昇しやすくなっている。一方、日本では先行き不透明感から金融政策を動かしにくく、日米金利差の拡大がドル円の上昇要因になっていると考えられる。
ゴールデンウィーク中の円買い介入は可能性低いとの見方
ゴールデンウィーク中の円買い介入については、現時点では可能性が低いという見方がある。
その理由として、為替介入は急激な相場変動を抑えるために行われるものであり、特定の為替水準を防衛する目的では実施しにくいという点が挙げられる。
また、現在のドル円相場は一定のレンジ内で推移しており、過去に介入が行われた局面のような、短期間での急激な円安とは状況が異なるとの指摘もある。
仮に介入が実施された場合でも、影響は短期的にとどまる可能性がある。原油高、貿易赤字、対外直接投資の拡大などを背景に、円の基礎的な需給環境は依然として弱いという見方もある。
地政学・エネルギー
ホルムズ海峡周辺の封鎖長期化リスク
アメリカによるホルムズ海峡周辺の海上封鎖が長期化する可能性がある。
一部メディアでは、トランプ大統領が封鎖長期化に備えるよう側近に指示したと報じられている。経済的な圧力をかけ続けるため、封鎖継続を選択したとの見方がある。
一方で、イランが譲歩しなければアメリカが軍事行動を検討するとの報道もあり、情勢の先行きには不透明感が残る。
出光丸、ホルムズ海峡を通過
出光興産の子会社が運行管理する大型原油タンカー「出光丸」がホルムズ海峡を通過し、日本に向かっている。
アメリカとイスラエルによるイランへの軍事作戦が始まって以降、日本に向かう原油タンカーがホルムズ海峡を通過するのは初めてとされる。
出光丸は日本時間29日午後までに海峡を通過し、名古屋に向かっている。日本人3人が乗船しているとみられる。
イラン当局の許可を得て通過した一方、イラン側に通行料は支払っていないとされる。
米国企業決算・AI関連
アルファベット、AI需要でクラウド事業が大幅増収
アルファベットの1月〜3月期決算は、売上高が前年からおよそ20%増加し、一株利益とともに市場予想を上回った。
AI需要を背景に、クラウド事業が6割以上の大幅増収となった。広告事業も15%増加し、市場予想を上回る伸びとなった。
決算発表後、アルファベット株は時間外取引で一時5%上昇した。
Microsoft、クラウド成長とAI投資収益化が評価
Microsoftの1月〜3月期決算は、売上高が前年から18%増、純利益が23%増となった。
Azureを含むクラウドサービスの増収率は39%で、市場予想を小幅に上回った。設備投資は319億ドルで、市場の想定ほど増加しなかった。
AI関連投資が拡大するなかでも、収益化が進んでいるとの受け止めがある。
Amazon、AWSが高成長も設備投資増を嫌気
Amazon.comの1月〜3月期決算は、前年と比べて増収増益となった。
クラウド部門AWSの売上高は28%増加し、およそ4年ぶりの高い成長率となった。
一方で、設備投資が市場予想を上回って増加したことが嫌気され、株価は時間外取引で一時7%近く下落した。
AI需要の取り込みが進む一方、巨額投資が利益やキャッシュフローに与える影響を市場が警戒している可能性がある。
Meta、広告堅調もAI投資拡大で株価下落
Metaの1月〜3月期決算は、主力の広告収入が堅調で、売上高が前年からおよそ30%増加した。純利益とともに市場予想を上回った。
一方、AI開発を強化するため、2026年通期の設備投資額見通しを最大1450億ドルに引き上げた。
この設備投資見通しの引き上げを受け、株価は時間外取引で一時7%近く下落した。
AI投資の長期的な成長期待は残る一方、短期的には投資負担の大きさが意識されやすい局面にある。
OpenAIの成長目標未達報道でAI投資への懸念
OpenAIがユーザー数や売上高で目標を達成できなかったと報じられ、AIの巨額投資の継続性に対する懸念が出ている。
ChatGPTの週間利用者数を2025年末に世界で10億人にする目標や、年間売上高の目標を達成できなかったとされる。これを受け、半導体などハイテク株が大きく下落した。
ただし、OpenAIが直ちにAI投資を縮小するとは限らないという見方もある。AI企業間の競争は激しく、競合の台頭が価格競争や性能向上を促し、AIのユーザー層を広げる可能性もある。
AI関連投資では、特定のAIサービス企業の勝敗を読むよりも、GPUや半導体製造など、複数のAI勢力から恩恵を受ける企業に注目する考え方がある。
米国経済指標
米3月耐久財受注、市場予想を上回る
アメリカの3月耐久財受注は、前月比0.8%増となり、市場予想を上回った。
AI関連需要の強さを背景に、コンピューター・電子製品の受注が増加した。
設備投資の先行指標とされる航空機を除く非国防資本財は3.3%増となり、市場予想を大幅に上回った。
米3月住宅着工、市場予想を上回る
アメリカの3月住宅着工件数は、季節調整済み年換算で150万2千戸となった。
市場予想を上回り、2024年12月以来、1年3カ月ぶりの高い水準となった。
最大市場の南部が堅調で、一戸建て住宅と集合住宅の建設がいずれも増加した。一方、先行指標とされる住宅着工許可件数は10%減少した。
日本株・国内市場
日経平均先物は5万8000円台後半
日経平均先物は、シカゴ市場で58,915円、大阪取引所の夜間取引で58,670円となった。
日本株については、中東情勢の先行きが見通しにくいことに加え、決算発表が本格化するため、投資家の様子見姿勢が強まりやすいという見方がある。
銀行株、利上げ期待後退で軟調も中期材料は残る
4月の日銀金融政策決定会合では、追加利上げが見送られた。利上げによる収益改善期待が強い銀行株は、利上げ観測の後退を受けて軟調に推移してきた。
一方、政策金利の最終到達点については、1.5%まで見込む声が多いとされる。
銀行株はすでに一定程度の利上げを織り込んだ可能性があるものの、円安や物価高止まりが続けば、1.5%を超える利上げの可能性もあり、上値余地が広がるとの見方がある。
また、長期的には企業の投資、サプライチェーンの見直し、M&Aの活発化などによる資金需要も、銀行株の成長材料になる可能性がある。
日本経済・日銀関連
日本の3月鉱工業生産に注意
日本の3月鉱工業生産については、企業の予測調査が強い数字を示している一方、注意が必要という見方がある。
予測調査の締め切りが3月10日であり、その後に中東情勢が悪化したため、石油化学メーカーを中心に生産調整が行われている可能性がある。
今後の鉱工業生産などのハードデータに、こうした減産の影響が表れる可能性がある。
この結果は、日銀の利上げ時期を判断するうえでも重要な材料になり得る。
海外中銀の利上げ織り込みと円安圧力
ECBとイギリス中央銀行については、今回の会合では政策金利の据え置きが予想されている。
一方、市場ではECBについて、次回6月会合での利上げを完全に織り込んでおり、年内では3回以上の利上げを織り込んでいるとされる。
イギリス中央銀行についても、次回会合で8割程度の利上げを織り込み、年末までに3回以上の利上げを織り込んでいるとされる。
日本以外の中央銀行が利上げ方向に傾けば、日銀の政策対応が相対的に遅れて見え、円安圧力が一段と強まる可能性がある。
国内政治・社会
高市総理、連合メーデー中央大会で賃上げ協力を呼びかけ
高市総理大臣は連合のメーデー中央大会に出席し、賃上げ環境の整備に万全を期すと述べた。
そのうえで、物価高を上回る継続的な賃上げの実現に向けて協力を呼びかけた。
現職総理の出席は4年連続となる。一方、連合側からは、裁量労働制の見直しについて、長時間労働につながるとして否定的な考えが出ている。
春の叙勲、3,875人が受章
春の叙勲の受章者3,875人が発表された。
「機動戦士ガンダム」の生みの親であるアニメーション監督に旭日中綬章が贈られた。
また、旭日大綬章には元復興大臣ら10人が選ばれた。
企業・サービス
ウーバー、エクスペディアと提携しホテル予約機能を追加
配車大手ウーバーテクノロジーズは、旅行予約サイト大手エクスペディアグループとの提携を発表した。
エクスペディアとの提携により、ウーバーのアプリでホテルを検索し、予約できるようになる。
日本を含む各国のホテルが対象で、ニューヨークでは29日からサービスが始まっている。5月中旬までに全米で展開する予定とされる。
ウーバーは、旅行業界への進出などを通じて、事業の多角化を進めている。
今日の主な予定
ECB政策金利、米GDP、アップル決算に注目
海外では、ECBが政策金利を発表する。
アメリカでは1月〜3月期のGDPが発表されるほか、アップルの決算にも注目が集まる。
日本では、3月の鉱工業生産が注目材料となる。特に、中東情勢悪化後の生産調整がどの程度反映されるかが焦点になりそうだ。

