電気・ガス料金、5月分は小幅値上げ 中東情勢の影響はこれから反映か

5月使用分の電気・ガス料金は、標準的な家庭で月数十円の値上げにとどまる。だが、今回の料金だけを見て負担増を小さく見積もるのは早い。

大手電力10社のうち9社が、2026年5月使用分、6月請求分の電気料金を値上げする。上昇幅は月8円から24円で、関西電力のみ据え置きとなる。都市ガス大手4社は全社が値上げし、月21円から27円の引き上げだ。

数字だけ見れば、今回の上げ幅は小さい。しかし、電気・ガス料金には燃料価格が時間差で反映される。イラン情勢の悪化に伴うLNG価格上昇は、5月分の料金にはまだ十分に織り込まれていないとされる。焦点は、6月以降から夏場にかけて、家計負担がどの程度積み上がるかに移っている。

目次

5月分の料金、会社ごとにいくら上がるのか

電力大手10社の5月使用分の電気料金は、国の認可が必要な規制料金で標準的な家庭の場合、以下のとおりだ。

会社証券コード5月使用分4月比
北海道電力95099,466円+9円
東北電力95068,667円+16円
東京電力HD95018,795円+18円
中部電力95028,483円+24円
北陸電力95057,625円+11円
関西電力95037,843円±0円
中国電力95048,266円+18円
四国電力95078,454円+8円
九州電力95087,581円+12円
沖縄電力95119,234円+18円

都市ガス大手4社の5月使用分は次のとおりだ。

会社証券コード5月使用分4月比
東京ガス95315,771円+24円
大阪ガス95326,325円+27円
東邦ガス95336,596円+26円
西部ガス95366,514円+21円

西部ガスは西部ガスホールディングス(9536)傘下の事業会社である。今回の値上がりの主因は、発電燃料や都市ガス原料となるLNG(液化天然ガス)などの輸入価格上昇だ。

なぜ5月分の値上げは小幅なのか

電気料金やガス料金は、燃料価格が上がってもすぐ同じ月の請求額に反映されるわけではない。

電気には「燃料費調整制度」、都市ガスには「原料費調整制度」がある。原油、LNG、石炭などの輸入価格の変動を料金に反映する仕組みだが、反映には数か月の時間差がある。資源エネルギー庁の説明では、電気の燃料費調整制度は3〜5か月前の貿易統計価格をもとに実績燃料価格を算定し、月々の料金に反映する。

つまり、5月分の値上げ幅が小さいことは、燃料価格上昇の影響が小さいことを意味しない。むしろ、足元の中東情勢による燃料高が家計に届くまでの時間差が残っている段階だ。

中東情勢の影響はこれから料金に出る可能性

今回の5月分料金には、イランをめぐる情勢悪化の影響がまだ十分に組み込まれていない。

ホルムズ海峡は、カタールやUAEなど主要LNG輸出国からの海上輸送ルートにあたる。国際エネルギー機関(IEA)は、ホルムズ海峡をめぐる混乱により、世界のLNG供給の約2割が市場から外れ、世界のLNG生産が前年比8%減少したと説明している。他地域の増産はあるものの、供給減を一部補うにとどまる構図だ。

世界銀行も、2026年のエネルギー価格が前年比24%上昇するとの見通しを示している。中東での戦争やホルムズ海峡の輸送混乱が、原油やLNGを通じて世界的なインフレ圧力になりやすい状況である。

国内では、国内最大級の発電事業者でLNG調達大手のJERAが、7月分までのLNG在庫を確保しているとしつつ、情勢が長引く場合には調達戦略の柔軟な見直しが必要になるとの見方を示している。報道では、電気料金は6月ごろから、ガス料金は夏ごろから、中東情勢の影響が反映される可能性が指摘されている。

家計が見るべきなのは月数十円の先

月数十円の値上げは、それだけで家計を大きく揺さぶる規模ではない。ただし、電気・ガス代の上昇は家庭の請求書だけにとどまらない。工場や店舗が支払う光熱費が増えれば、製品やサービスの価格にも波及しやすくなる。

今回の値上げは、5月分だけを切り取れば小幅である。一方で、燃料費調整や原料費調整の仕組みを考えると、今後数か月の請求額に上昇圧力が残る。6月、7月、夏場にかけて小幅な上昇が積み重なれば、累積の負担は無視しにくくなる。

エネルギー価格は地政学情勢に左右されやすく、日本だけで完全にコントロールできるものではない。節電・節ガスは引き続き有効だが、それだけで吸収しきれない価格変動も起こりうる。5月分の小幅値上げは、家計が夏場の光熱費を見直すきっかけとして受け止めるのが現実的だ。

(本稿は各種公開情報をもとに作成した。一部数値は記事掲載時点の情報である)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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