【4月27日発表】主要企業決算まとめ|アドバンテスト・日立製作所が揃って過去最高益を更新

2026年4月27日、アドバンテスト(証券コード:6857)と日立製作所(証券コード:6501)が、2026年3月期(2025年度)の通期決算を発表しました。

両社に共通するのは、AIや電力インフラへの旺盛な需要を追い風に、売上・利益ともに大幅な拡大を達成したという事実です。アドバンテストは連結会計年度の売上高・利益がいずれも過去最高を更新。日立製作所は売上収益10兆円の大台を突破し、親会社株主に帰属する当期利益が8,000億円を超えました。

本記事では、各社の決算短信(TDnet開示)に記載された数値をもとに、決算内容を整理します。数値はいずれも決算短信原文に基づきます。


目次

本日の決算ポイント

  • アドバンテスト:AI関連半導体テスタ需要が大幅拡大。売上高は前年度比+44.7%、営業利益は+118.8%と倍増超え。売上高・営業利益・当期利益がいずれも過去最高を更新。
  • 日立製作所:Lumada事業、エナジーセクター(パワーグリッド)、デジタル・モビリティが牽引。売上収益+8.2%、調整後営業利益+23.4%。家電事業の売却(後発事象)も発表。
  • 共通テーマ:AI需要、データセンター投資、電力インフラ増強という構造的トレンドが、製造業の業績を底上げした1年。

主要企業の決算一覧表

項目アドバンテスト(6857)日立製作所(6501)
会計基準IFRS(連結)IFRS(連結)
決算期2026年3月期2026年3月期
売上高(収益)1兆1,286億円10兆5,867億円
前年比+44.7%+8.2%
営業利益(注)4,991億円1兆1,993億円(調整後)
前年比+118.8%+23.4%
営業利益率44.2%11.3%(調整後)
税引前利益5,167億円1兆2,731億円
親会社帰属当期利益3,754億円8,023億円
前年比+132.9%+30.3%
EPS(基本)515.15円176.76円
自己資本比率(相当)67.9%43.7%
営業CF3,352億円1兆6,681億円
年間配当(実績)59円50円

(注)日立製作所の営業利益は「調整後営業利益」を表示。Adjusted EBITAは1兆3,114億円。


アドバンテスト(6857)の決算要約

業績ハイライト

アドバンテストの2026年3月期連結業績は、売上高1兆1,286億円(前年度比+44.7%)、営業利益4,991億円(同+118.8%)、税引前利益5,167億円(同+129.9%)、当期利益3,754億円(同+132.9%)。いずれも連結会計年度の過去最高額を更新しました。

主な要因は、「AI関連の高性能半導体向けテスタ需要の大幅な拡大」です。データセンター向けのHPC(高性能コンピューティング)デバイスや高性能DRAMの生産増に伴い、同社の半導体テスタへの引き合いが急増しました。

主要財務数値

指標2025年3月期2026年3月期前年比
売上高7,797億円1兆1,286億円+44.7%
営業利益2,282億円4,991億円+118.8%
営業利益率29.3%44.2%+14.9pt
税引前利益2,248億円5,167億円+129.9%
当期利益1,612億円3,754億円+132.9%
EPS(基本)218.67円515.15円+132.9%

セグメント別

テストシステム事業(売上高の約90%を占める中核事業)

  • 売上高:1兆194億円(前年度比+49.3%)
  • セグメント利益:5,188億円(同+97.9%)
  • SoCテストシステムが高性能SoC半導体向けを中心に大幅増。メモリテストシステムも高性能DRAM・不揮発性メモリ向けが堅調。

サービス他

  • 売上高:1,092億円(同+12.7%)
  • セグメント利益:88億円(前年度は△161億円の損失→黒字転換)
  • サポート・サービス、消耗品販売が拡大。前年度に計上していたのれん及び無形資産の減損損失(約214億円)の影響がなくなったことも寄与。

財務状態

指標2025年3月期末2026年3月期末
資産合計8,542億円1兆1,718億円
資本合計5,065億円7,957億円
親会社所有者帰属持分比率59.3%67.9%
1株当たり親会社所有者帰属持分690.80円1,097.50円

キャッシュフロー

区分2025年3月期2026年3月期
営業CF2,860億円3,352億円
投資CF△422億円△346億円
財務CF△828億円△2,306億円

財務CFの支出拡大は主に自己株式の取得(約1,143億円)と短期借入金の返済(約754億円)による。

株主還元

  • 年間配当:1株59円(前年度39円)。中間29円+期末30円。
  • 自己株式取得:当期に約1,143億円実施。
  • なお、2027年3月期の配当は現時点で未定。

市場が評価しそうな点

  • 営業利益率44.2%という高水準の収益性。
  • 売上・営業利益・当期利益のすべてが過去最高を更新。
  • 2027年3月期も売上高1兆4,200億円(+25.8%)・営業利益6,275億円(+25.7%)という強気な業績予想。
  • AI半導体テスタ市場が「過去最大規模になる」と会社側が明記。
  • 1,000億円の転換社債発行(後発事象)による生産能力・在庫・次世代開発への成長投資。

懸念点

  • 海外売上比率97.8%のため、為替変動(特にドル・ユーロ)の影響を受けやすい。
  • 地政学リスク(中東情勢、米中摩擦)によるサプライチェーン不安。
  • 自動車・産業機器向け成熟半導体のテスタ需要は軟調と明記。
  • AI投資サイクルの変化リスク。

日立製作所(6501)の決算要約

業績ハイライト

日立製作所の2026年3月期連結業績は、売上収益10兆5,867億円(前年度比+8.2%)、調整後営業利益1兆1,992億円(同+23.4%)、親会社株主に帰属する当期利益8,023億円(同+30.3%)。

Lumada事業の拡大、パワーグリッドを中心としたエナジーセクターの力強い成長、デジタルシステム&サービスの収益性向上が主な牽引役です。

主要財務数値

指標2025年3月期2026年3月期前年比
売上収益9兆7,834億円10兆5,867億円+8.2%
調整後営業利益9,716億円1兆1,992億円+23.4%
調整後営業利益率9.9%11.3%+1.4pt
Adjusted EBITA1兆835億円1兆3,114億円+21.0%
税引前当期利益9,627億円1兆2,731億円+32.2%
親会社株主帰属当期利益6,157億円8,023億円+30.3%
EPS(基本)133.85円176.76円+32.1%
ROE10.7%12.9%+2.2pt

セグメント別(Adjusted EBITAベース)

セグメント売上収益(外部)Adjusted EBITA
デジタルシステム&サービス2兆7,566億円4,501億円
エナジー3兆2,008億円4,160億円
モビリティ1兆3,206億円1,081億円
コネクティブインダストリーズ3兆0,008億円3,674億円
その他2,753億円230億円

エナジーセクターが最大の売上を占め、かつ高いセグメント利益を記録。デジタルシステム&サービスも収益性が向上。

地域別売上収益

地域2025年3月期2026年3月期前年比
日本3兆7,792億円(39%)3兆9,129億円(37%)+4%
欧州1兆9,026億円(19%)2兆2,750億円(21%)+20%
北米1兆5,280億円(16%)1兆6,538億円(16%)+8%
アジア1兆8,433億円(19%)1兆9,159億円(18%)+4%
海外合計6兆0,042億円(61%)6兆6,739億円(63%)+11%

欧州の伸び(+20%)が顕著。パワーグリッド関連の受注が牽引したとみられます。

財務状態

指標2025年3月期末2026年3月期末増減
総資産13兆2,848億円15兆412億円+1兆7,564億円
有利子負債8,380億円(概算)1兆90億円△1,970億円
親会社株主持分5兆8,471億円6兆5,684億円+7,213億円
親会社株主持分比率44.0%43.7%△0.3pt
D/Eレシオ0.20倍0.15倍改善

キャッシュフロー

区分2025年3月期2026年3月期前年比
営業CF1兆1,722億円1兆6,681億円+4,958億円
投資CF△5,737億円△3,416億円+2,321億円
フリーCF5,986億円1兆3,265億円+7,279億円
財務CF△4,241億円△9,710億円△5,469億円

フリーCFが前年度比約2.2倍の1兆3,265億円に拡大。財務CFの支出増は自己株式取得(約3,523億円)と長期借入金の返済(約4,124億円)が主因。

株主還元

  • 年間配当:1株50円(前年度43円)
  • 2027年3月期:中間配当28円(期末は未定)
  • 自己株式取得枠の設定(後発事象):5,000億円上限、1億6,000万株上限(2026年4月28日〜2027年3月31日)

その他重要な後発事象

  • 家電事業の売却:子会社・日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)の家電事業を分社化し、新会社株式の80.1%を㈱ノジマが管理するSPCへ譲渡(2026年4月21日契約締結)。売却対価は約1,100億円。2026年度中の完了を予定。

市場が評価しそうな点

  • 「Lumada事業の拡大」「パワーグリッド」「DX」という成長領域が揃って貢献。
  • フリーCFが1兆3,265億円と大幅拡大し、財務体質が改善。
  • 5,000億円規模の自己株式取得枠という大型株主還元策。
  • 売上収益10兆円超えという規模感の達成。

懸念点

  • 日立製作所の税引前当期利益は来期(2027年3月期)予想で△1.3%と小幅減を見込む。利益成長の鈍化懸念。
  • 家電事業の売却は事業ポートフォリオの整理として評価できる一方、同事業の売上・利益が連結から外れる。
  • 為替前提が150円/ドル、175円/ユーロと設定されており、円高局面では下振れリスク。
  • D/Eレシオは改善しているが、有利子負債残高は依然として1兆円規模。

その日の決算から見える経済テーマ

① AI・データセンター投資の波及効果

アドバンテストの好決算は、AI半導体の需要拡大が「設計・製造」だけでなく「テスト工程」にまで及んでいることを示しています。高性能SoC・HPC・高性能DRAMの複雑化により、テスト時間・コストが増大しており、テスタ需要は引き続き拡大が見込まれます。

② 電力インフラ(パワーグリッド)の需要急増

日立製作所のエナジーセクターが売上3兆円超え・最高益セグメントとなった背景には、世界的なデータセンター増設に伴う電力需要の急増と、脱炭素化に向けた送電網整備があります。パワーグリッド(送配電システム)への投資は欧米を中心に拡大しており、日立はこの波を捉えています。

③ 日本企業の「選択と集中」の加速

日立製作所が家電事業を売却する一方、アドバンテストが転換社債で生産能力増強に集中投資する姿は、「選択と集中」の対照的な実例です。両者ともに、自社の強みが最大発揮できる領域にリソースを集中させる戦略を鮮明にしています。


まとめ

2026年4月27日に発表された2社の決算は、AI・電力インフラという2つの大きな潮流が、異なる業態の企業にそれぞれ大きな恩恵をもたらしていることを示しました。

アドバンテストは「半導体テスタ」という専門領域で圧倒的な競争力を発揮し、利益率44%という高収益体質を実現。日立製作所はLumada・パワーグリッド・鉄道という多角的なポートフォリオで10兆円企業としての存在感を示しました。

来期の予想も両社ともに増収・増益を見込んでいますが、地政学リスクや為替変動、AI投資サイクルの変化といった外部リスクには引き続き注意が必要です。


本記事は各社が2026年4月27日にTDnetへ開示した決算短信(IFRS連結)の記載内容に基づいています。投資判断については各自でご判断ください。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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