米航空機大手ボーイング(NYSE: BA)の2026年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比14%増の222億1700万ドルとなった。一方、最終損益は700万ドルの赤字で、フリーキャッシュフローは14億5400万ドルのマイナスだった。航空機納入の回復は進んでいるが、利益体質が戻ったとまでは言いにくい内容だ。
売上が伸びても黒字が定着しない理由
今回の増収を支えたのは、民間航空機の納入増と防衛部門の販売拡大だった。ボーイング全体の商業機納入は前年同期の130機から143機へ増え、商業機部門の売上高も92億300万ドルと13%増えた。
ただし、商業機部門はなお5億6300万ドルの営業赤字だった。ボーイングは品質問題への対応を続けながら、787の生産体制強化や軍用機生産への投資、737 MAXの新ライン準備、737-7・737-10や777Xの認証作業も進めている。売上増がそのまま利益増に結びつかないのは、こうした投資負担と認証対応がなお重いからだ。
つまり、今回の決算は「回復が止まっていない」ことを示した一方で、「収益力が元に戻った」段階にはまだ至っていないと読める。
737 MAXの増産はなぜ重要か
回復のカギを握るのは主力機737 MAXの生産ペースだ。2024年1月のアラスカ航空機のドアプラグ脱落事故後、米連邦航空局(FAA)はボーイングに737 MAXの増産を認めず、月38機の上限を課した。2025年10月には月42機への引き上げが認められ、足元ではその水準で生産している。
ボーイングのケリー・オルトバーグCEOは、2026年夏に月47機への引き上げを目指す考えを示している。増産が実現すれば納入増で収益改善が進みやすくなるが、それは同時に安全と品質を維持したまま生産を上げられるかを問う試金石でもある。数字の上では好材料でも、FAAの監督下で信頼回復を示せるかが本当の焦点だ。
防衛部門が下支えする構図
今期の下支え役になったのは防衛・宇宙部門だった。売上高は75億9900万ドル、営業利益は2億3300万ドルで、営業利益は前年同期比50%増となった。民間航空機の回復がなお道半ばのなか、防衛需要の安定が全社業績を支える構図が続いている。
オルトバーグCEOは、イラン情勢による航空機納入への直接的な影響は現時点で出ていないとも説明している。航空機ビジネスは受注から納入までの期間が長く、短期の地政学変動が直ちに決算へ表れにくい面があるためだ。ただし、中東情勢の長期化が航空会社の収益や燃料コストに波及すれば、中長期では無関係ではいられない。
いまの決算をどう読むべきか
今回の決算は、売上増、赤字縮小、納入回復という改善材料が並んだ。一方で、商業機部門は営業赤字が続き、フリーキャッシュフローもなお大きくマイナスだ。回復は進んでいるが、足取りはまだ重い。
今後の見どころは三つある。第1に、737 MAXを月47機へ安全に引き上げられるか。第2に、737-7、737-10、777Xの認証が計画通り進むか。第3に、フリーキャッシュフローの改善が続くかだ。今回の決算は、ボーイングが回復局面にあることを示したが、その持続性を判断するにはもう数四半期の確認が必要だ。
(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

