三陸沖M7.7で後発地震注意情報発表 「平時の約10倍」をどう受け止めるか

4月20日16時52分ごろ、三陸沖で地震が発生した。気象庁が震源位置や規模を精査した結果、地震の規模はM7.7とされ、同日19時30分に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表された。

この情報が意味するのは、「今すぐ巨大地震が来る」と知らせることではない。気象庁と内閣府は、今後1週間程度、千島海溝・日本海溝沿いで巨大地震が起きる可能性が平時より相対的に高まっているとして、日頃からの備えの再確認を呼びかけている。

「平時の約10倍」という表現は強く見える。ただ、政府の説明では、M7以上の地震の後に周辺500キロでM8以上の地震が1週間以内に起きた割合は世界の事例で約1%だ。これを、平時の1週間確率の目安である約0.1%と比べて「約10倍」と説明している。絶対確率が高いというより、低い確率が相対的に上がったため、備えを1段引き上げてほしいという性格の情報と受け止めるのが実態に近い。

目次

何が起きたのか

4月20日16時52分ごろ、三陸沖を震源とする地震が発生した。青森県階上町で震度5強を観測したほか、青森、岩手、宮城の各地で震度5弱を観測した。気象庁は一時、北海道から東北にかけて津波警報や注意報を発表し、岩手県の久慈港では80センチの津波を観測した。

その後、気象庁は震源位置や規模を精査し、この地震が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発表基準を満たすと判断した。防災対応が求められる自治体は、北海道から千葉県までの182市町村に及ぶ。

この情報は何を伝える制度なのか

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、巨大地震を予知する制度ではない。日本海溝・千島海溝沿いで大きな地震が起きた後、さらに大きな地震が続く可能性が平時より高まったときに、住民や自治体へ備えの再確認を促すための情報だ。運用開始は2022年12月だった。

制度の背景には、過去の連続地震の事例がある。2011年3月9日に三陸沖でM7.3の地震が起き、その2日後にM9.0の東北地方太平洋沖地震が発生した。1963年の択捉島沖でも、M7.0の地震の後にM8.5の地震が続いた。こうした事例を踏まえ、完全な予知ではなくても、防災行動を早める仕組みとして整備された。

「平時の約10倍」はどう受け止めるべきか

数字だけを見れば大きい。しかし、この数字は相対的な上昇を示したものだ。

内閣府によると、1904年から2021年までに世界で確認されたM7以上の地震1529事例のうち、1週間以内に周辺500キロでM8以上の地震が起きたのは19事例だった。確率にすると約1%になる。一方、政府は、日本海溝・千島海溝沿い巨大地震のうち発生確率が最も高い根室沖の想定などを基に、平時の1週間確率の目安を約0.1%としている。これと比べると「約10倍」という説明になる。

それでも、巨大海溝型地震は発生時の被害がきわめて大きい。だからこそ、政府は確率の絶対値だけでなく、今は平時ではないことを踏まえて備えを点検するよう求めている。

今、確認しておきたいこと

気象庁と内閣府が求めているのは、日常生活を続けながら、すぐに避難できる態勢を整えることだ。事前の一律避難は求められていない。

確認しておきたい内容は大きく分けて次の通りだ。

  1. 非常用持ち出し袋の中身を見直す
  2. 避難場所と避難経路を確認する
  3. 家族との連絡手段と合流場所を話し合う
  4. 家具の固定状況を確認する
  5. 食料、水、簡易トイレなど備蓄品を点検する

東京大学大学院の関谷直也教授は、新年度で進学や就職、転居など生活環境が変わった人ほど、今の職場や学校からどう逃げるかを確認しておく重要性を指摘している。東日本大震災では、家族を迎えに向かって津波に巻き込まれた事例もあったとされ、連絡方法や避難後の合流場所を平時に決めておく意味は大きい。

見出しの強さと実際の行動は分けて考えたい

今回の情報は、今回で2度目の発表となる。見出しだけ見ると、巨大地震が目前に迫っているようにも受け取られやすい。しかし、制度の趣旨は不安をあおることではなく、備えの再確認を社会に促すことにある。

過剰反応は不要だが、無反応も望ましくない。この1週間を、避難経路や備蓄、家族の連絡手段を見直す機会として使えるかどうかが重要になる。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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