🧭 はじめに:市場を支配する「極端な恐怖」
2025年4月15日、**CNNのFear & Greed Index(FGI)**は「19」に低下し、**極端な恐怖(Extreme Fear)**を示す水準となりました。
この指数は、投資家の心理を0〜100で数値化し、恐怖と貪欲のバランスを可視化するものです。
🔍 FGIとは何か?構成と誕生背景
CNNのFear & Greed Index(通称FGI)は、2011年ごろにCNNMoney(現CNN Business)によって開発・公開された指標です。
米株市場の投資家心理を総合的に捉えるために設計されており、7つの要素を総合して「恐怖」か「貪欲」かを数値化します。
FGIの構成要素は以下の通りです:
- 株価モメンタム(S&P500と125日移動平均の乖離)
- 株価の上昇銘柄比率(A/D)
- VIX指数(ボラティリティ)
- 株式と債券の需給差(セーフヘブン需要)
- 株価の値動き幅(ボラティリティ)
- ジャンク債と国債のスプレッド
- プット・コール・レシオ(オプション市場の心理)
📌 補足:FGIで使用される「A/D比率」は、銘柄数ベースの上昇・下落比率(Stock Price Strength)と、出来高ベースの売買比率(Stock Price Breadth)の2種類があり、それぞれ市場の広がりと偏りを示します。
また、「FGIが20以下=必ず相場が反転する」という確実性はありませんが、**過去の統計的傾向として“売りが一巡しやすい水準”**であることから、多くのプロ投資家が注目するポイントとされています。
📊 FGIとVIX指数、どう違う?
指標 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
FGI(CNN) | 市場心理全体を7指標で評価 | 感情の“質”を多角的に反映 |
VIX指数 | S&P500の予想ボラティリティ | “恐怖”の強さを短期で把握 |
🔎 なぜVIXのほうが有名なのか?
VIX指数は、1993年にCBOE(シカゴ・オプション取引所)によって開発・導入された歴史ある公式指標です。
以下の理由から、金融メディアや投資家の間で広く定着しています。
- ETFや先物などの金融商品が存在し、実際に取引できる
- 日経・NHK・テレビ東京などの主要メディアで定期的に紹介される
- 日本の証券会社レポートにも必ず登場し、投資家の基本指標として認知度が高い
一方でFGIはCNNの独自開発による非売買型の心理指標であるため、あくまで「投資家感情の目安」として使われるケースが多いです。
🖼️ 実際のチャート比較:FGIとVIX
以下はVIX指数の直近チャートです。トランプ政権の対中関税ショックを受けて、VIXは一時50を超える水準まで急騰し、現在は30台前半まで下落しています。
- 一時的なパニック(短期的恐怖)がピークアウトした可能性
- ただし依然として高水準(30台)にあることから、市場の緊張は継続中
🔍 補足:2025年4月初旬、トランプ大統領は対中輸入品に対して最大145%の追加関税を発表し、IT・電機部品など広範な製品群が対象となりました。これを受けて金融市場は「貿易戦争の再燃」への懸念を強め、株式・債券・為替市場で同時下落(トリプル安)を招くなど、極端なリスクオフが加速しました。
💡 FGIは相場の“底入れ”サインになるか?
過去にもFGIが「20以下(極端な恐怖)」を示した場面では、相場の反転や回復が見られたケースが複数あります。
- 2024年8月:FGIが17に低下 → その後S&P500は上昇トレンドに
- 今回もトランプ大統領が関税の追加分を90日停止すると発表後、米株は急反発
📌 FGIは「売りが出尽くした」「底打ちのサイン」として注目される局面です。
📝 まとめ:2つの“恐怖指標”をどう使うか?
- VIXは「恐怖の量(ボラティリティ)」を見る指標
- FGIは「感情の方向(恐怖or貪欲)」を見る指標
※本記事で紹介している「Fear & Greed Index(FGI)」のスコアは、CNN Businessが公式に公表している数値(Fear & Greed Index – CNN)に基づいています。また、VIX指数の数値はCBOE(シカゴ・オプション取引所)やTradingViewなどの公開データを参照しています。