2025年4月15日に発表されたイギリスの主要経済指標(3月分)は、消費と雇用の現状を映し出す重要な材料となりました。この記事では、小売売上と雇用統計の結果をふまえたうえで、為替と株式市場の反応をチャートとともに読み解きます。
🛍️ 英国・BRC既存店売上高(3月):温暖な気候と季節イベントが後押し
予想 | 結果 | 前回 |
---|---|---|
+0.5% | +0.9% | +0.9% |
指標名:英国・BRC既存店売上高(2025年3月)
発表日:2025年4月15日 08:01
前回改定値:—
前回ドル円変動幅:-24.7 pips
英国小売業協会(BRC)の発表によると、3月の既存店売上高は前年同月比 +0.9%と、予想(+0.5%)を上回る結果となりました。これは前月と同じ伸び率であり、安定した消費活動が続いていることを示しています。
特にガーデニング用品、DIY、ギフト関連の売上が好調だったとの分析があり、3月の陽気な天候や母の日などの季節要因が影響したとみられます。
💼 雇用統計:失業率は安定も、求人減少が懸念材料
指標項目 | 予想 | 結果 | 前回 | 前回改定値 |
---|---|---|---|---|
失業率 | — | 4.7% | 4.7% | 4.6% |
失業保険申請件数 | — | 1.87万件 | 4.42万件 | 1.65万件 |
発表日:2025年4月15日 15:00 / 前回ドル円変動幅:+5.6 pips |
3月の雇用統計では、失業率は4.7%で横ばいとなり表面上は安定した状況が続いています。
ただし、以下のような点に注意が必要です。
- 求人件数がパンデミック以前の水準を下回った。
- 3月の給与所得者数が前月比で7万8,000人減少。
- 失業保険申請件数は1.87万件と、前回(4.42万件)から大きく改善。ただし前回数値は大幅に修正されているため単純比較には注意が必要です。
全体として、雇用市場は表面的には持ちこたえているものの、構造的な冷え込みの兆候があるとの見方も出ています。
💱 ポンド相場:188円付近で下げ止まりも反発限定

ポンド円(GBP/JPY)の為替相場は、188円台前半で一旦下げ止まりを見せたものの、大きな反発には至っていません。
📉 チャートで読み解く:ポンド円(日足)
2025年2月後半から続いた下落トレンドは、4月中旬にようやく底を打ちつつある印象。ただし、強い買い戻しは見られず、市場は英国経済の回復を慎重に見極めている段階といえます。
📉 FTSE100:株価は反発も心理的節目で足踏み

ロンドン市場を代表するFTSE100指数は、4月初旬に大幅な下落を経験。8,000ポイントを割り込む場面もありましたが、足元ではやや反発傾向にあります。
📊 チャートで読み解く:FTSE100(日足)
イースター後の反発もあり、現在は8,100〜8,200ポイントでの攻防が続いています。ただし、高値からの戻りは限定的であり、依然として投資家心理は慎重です。
🔍 総括:英国経済は「安定の中の不安定さ」
- 小売:短期的には堅調だが、実需回復の力強さは乏しい。
- 雇用:失業率は安定も、雇用者数の減少と求人の冷え込みがリスク。
- 市場反応:為替も株価も反応は鈍く、慎重ムードが支配的。
この先は、インフレと金利政策の行方が英ポンドと株式市場を左右する主な材料となります。BOE(イングランド銀行)の次の一手が注目される局面です。