今週の経済を読む──米中リスクと中国指標の行方(2025年4月14日週)

🌀 1. トランプ関税の“二転三転”がもたらす混乱

米政権による関税方針の迷走が市場の不安定要因となっています。スマートフォンなどの電子機器は課税対象から外されたものの、半導体などには今後追加関税がかかる可能性が示唆されています。この“政策の不確実性”が、企業の価格設定や消費者心理に影響を与え始めています。

📱 iPhoneの価格が一時的に30万円超との試算もあり、需要の前倒し(駆け込み)や消費減退リスクへの懸念も。企業活動や為替市場に波紋が広がっています。


📉 2. 景気後退と物価上昇の“ねじれリスク”

米国では景気の減速が鮮明になる一方、インフレは依然根強く続いています。ミシガン大学の消費者信頼感指数は50.8と大きく落ち込み、1年先のインフレ期待は6.7%と高止まり。ウィリアムズNY連銀総裁はGDP成長の鈍化とインフレの継続を示唆し、いわばスタグフレーションの兆しが見えています。

📊 このような中での関税政策強化は、インフレ圧力をさらに高めるリスクとなり得ます。


💱 3. ドル円の綱引き──金利差vs安全資産

米10年国債利回りは4.493%へ上昇。金利差による円安圧力が続く一方、安全資産としての円買いも同時に進行しており、為替相場は方向感を模索しています。

🗣️ 日米の金利差拡大とともに、為替政策も交渉の場に上り始めました。加藤財務大臣や赤沢経済再生担当大臣が為替を「交渉テーマになり得る」と発言するなど、政治的な介入の兆しも。


📅 4. 今週の主な経済予定(2025年4月14日~18日)

日付 国・地域 内容
4月14日(月) 中国 / アメリカ 3月 貿易統計 / NY連銀消費者調査(期待インフレ率)
4月15日(火) ドイツ / アメリカ ZEW景況感指数 / NY連銀製造業景気指数
4月16日(水) 中国 / アメリカ GDP(1-3月)、小売売上高、鉱工業生産 / 小売売上高、鉱工業生産
4月17日(木) 日本 / 欧州 / アメリカ 貿易統計、日銀審議委員発言 / ECB理事会・ラガルド総裁会見 / 住宅着工件数
4月18日(金) 日本 / アメリカ 全国消費者物価指数(CPI) / 株式・債券・商品市場休場(祝日)

🇨🇳 5. 今週の主な中国指標予定(注目イベント)

日付 内容
4月14日(月) 3月 貿易統計、70都市の住宅価格動向
4月16日(水) 1-3月期GDP、小売売上高、鉱工業生産、不動産開発投資、固定資産投資

📌 特に16日(水)は、月次・四半期のフルセットが揃い、中国経済の「今」が見える重要な日です。グローバル市場への影響も大きく、投資家心理の転換点となる可能性があります。


🏢 6. 今週の主な企業決算予定(2025年4月14日〜17日)

日付 企業名
4月14日(月) 日本/ アメリカ J.フロント リテイリング、高島屋 / ゴールドマン・サックス
4月15日(火) アメリカ シティグループ、バンク・オブ・アメリカ
4月16日(水) オランダ / アメリカ ASML(半導体製造装置) / アルコア(アルミ大手)
4月17日(木) 日本 / 台湾 / アメリカ ディスコ(半導体関連) / TSMC(半導体ファウンドリ) / ネットフリックス(動画配信)

🎯 7. ビジネスパーソンが今週押さえるべき視点

関税と為替政策:トランプ政権の政策変更が続く中、企業活動に影響を与える不確実性が高まっている。

中国経済:景気の底打ちか、減速再加速かを見極める週。中国のデータは市場全体に波及する。

インフレと利下げ観測:米インフレ継続なら利下げは遠のく。一方でCPIや消費指標が弱ければ、期待感は再燃する。

日本市場の需給悪化:需給指標は悪化傾向。日経平均は下値警戒が必要。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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