不動産投資は、「安定収入」や「資産形成」といった魅力に注目が集まる一方で、市場の実態を知らずに始めてしまうと、大きな損失につながるリスクもあります。
今回は、不動産投資の第一歩として押さえておきたい「日本の不動産市況の今」をわかりやすく解説します。
空き家は過去最多、13.8%の時代へ
2023年の統計によると、日本全国の空き家数は約900万戸。これは過去最多で、**空き家率も13.8%**と、右肩上がりで上昇しています。
特に多いのは、賃貸用・売却用ではない「その他の空き家」。たとえば、転勤や長期入院などで一時的に使われていない住宅や、取り壊し予定の住宅などが含まれます。
✅ ポイント:供給過多の地域では、賃貸需要よりも空き家リスクの方が高まることに注意が必要です。
人口が減り、世帯は増える「矛盾した構造」
日本の総人口は2010年をピークに減少傾向。一方、世帯数は増加しています。これは、一人暮らしや夫婦のみの世帯が増え、1世帯あたりの人数が減っているためです。
- 1980年:1世帯あたり約3.4人
- 2020年:1世帯あたり約2.3人
つまり、「人口減少」でも「住まいのニーズ」は残る構図。ただし、地域や物件のターゲット層に合った選定が必要です。
オフィス市場の現状:スペック重視の時代へ
新型コロナ後、リモートワークの普及によりオフィス需要が変化しました。
特に東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)では、空室率が一時6%台に上昇しましたが、2024年には5%台に改善。
企業は「広さ」よりも立地・設備・快適性といったスペックを重視し、よりよいオフィス環境への移転が進んでいます。人材確保や生産性向上を見据えた動きと言えるでしょう。
建築費の上昇も無視できない
近年の建築費は、コロナ禍や円安、国際情勢(ロシア・ウクライナ情勢、ウッドショック)などの影響で急上昇中。
さらに、物流・建設業界の「2024年問題」(労働時間の上限制限)もコストに拍車をかけています。
✅ 注意点:新築物件や大規模修繕の費用も上がるため、投資利回りに与える影響は大きいです。
不動産は「流動性が低い資産」であることを忘れずに
不動産は、株式や投資信託と違ってすぐには売れない資産です。
現物不動産の売却には1か月以上の時間がかかり、価格交渉や契約条件のすり合わせも必要になります。
資産全体のポートフォリオの中で、「すぐに換金できない資産」であることを認識した上で投資判断を行うことが重要です。
まとめ:市場を正しく読み解けば、投資リスクは減らせる
不動産投資は「物件選び」がすべてと思われがちですが、マクロ的な市場環境の理解が非常に重要です。
- 空き家増加による地域選定の難しさ
- 人口構造の変化と単身世帯の増加
- オフィス・建築市場のコスト変化
- 流動性リスクという本質的な特徴
これらを押さえたうえで、次章(第2章)では**「どんな種類の不動産に投資すべきか?」**という具体的な戦略に迫っていきます。
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