なぜトランプは関税を強化したのか?

その狙いと、私たちの暮らしにじわじわ広がる影響とは

2025年4月、トランプ前大統領が発表した大幅な関税強化のニュースが、世界中の市場を揺るがせています。
とくに日本に対しては24%という高い関税が課されるという発表に、多くの人が驚きと不安を抱いたのではないでしょうか。

「どうして今また関税を?」「なぜ日本も対象になっているの?」「これって、自分の生活にも関係あるの?」

今回は、そんな疑問に応える形で、トランプ関税の背景から、為替や株価への影響、そして私たちの暮らしに与える変化まで、やさしく解説していきます。


「アメリカ第一主義」が再び動き出した

トランプ氏の今回の関税強化には、はっきりとした政治的な狙いがあります。それは、かつて大統領に就任した際に掲げた「アメリカ・ファースト(America First)」の再演です。

2024年の大統領選を経て、再び表舞台に立ったトランプ氏は、自国の産業、特に製造業を守るという強いメッセージを発信しています。
関税は、海外からの製品にコストを上乗せし、アメリカ国内の製品を選びやすくするための政策です。

こうした動きは、国内の労働者や産業保護を望む有権者の支持を集めやすく、特に製造業が盛んな州では選挙における重要な戦略といえるでしょう。


日本にも高い関税が――その背景にある貿易構造とは

今回の関税政策では、日本を含む複数の国々に対して、一律10%の基本関税に加えて国別の上乗せが行われました。
中でも日本には24%という比較的高い関税が設定され、市場でも注目を集めています。

これは日本だけが「標的」にされたというわけではなく、アメリカにとって貿易赤字の大きい国の一つとして扱われた結果と見るべきでしょう。

特に日本は、自動車や電子機器などの分野で長年にわたり多くの製品をアメリカへ輸出しており、貿易黒字が恒常的に続いている国です。
こうした貿易構造に対して、トランプ氏は政権時代から繰り返し「不公平だ」と批判を続けてきました。今回の関税も、その延長線上にあると考えられます。


関税で世界経済が揺れた――株安、円高、金利低下

トランプ氏の関税発表を受け、世界の市場は敏感に反応しました。最も顕著なのが株価の下落です。
特に輸出を主力とする企業の株が大きく売られ、日本株やアメリカ株もそろって値を下げました。

それに伴って起きたのが、米国債への資金流入による金利の低下です。
市場が不安になると、安全資産とされる米国債が買われ、その結果、長期金利が下がるという現象が起こります。

そしてもう一つ重要なのが、為替の変動です。
今回の発表後、ドル円相場は145円台まで下落しました。
これは金利差の縮小と、世界的な株安による「リスク回避の円買い」が同時に進んだ結果です。


円高・円安、私たちの生活にはどう関係する?

為替の動きは、私たちの暮らしにも確実に影響します

たとえば円高になると、海外旅行や留学の費用が抑えられ、輸入品(ガソリン、家電、海外ブランドなど)も安く手に入る可能性があります。
一方で、円高は日本の輸出企業にとってはマイナス要因です。企業収益が悪化すれば、給与や雇用にも悪影響が及ぶことがあります。

また、投資をしている方にとっても、為替は重要な要素です。外貨建て資産(米国株、外債など)は円高になると評価額が下がるため、為替リスクに注意が必要です。


今後の焦点は? 米国の利下げと予算審議の行方

トランプ関税の影響は、金融政策にも波及しています。
現在、市場では「FRB(米連邦準備制度)は、景気悪化を懸念して利下げを早めるのでは?」という見方が広がっています。
金利が下がれば、ドル安・円高がさらに進む可能性もあり、今後の為替動向に注目です。

もうひとつ注目されるのが、アメリカ議会での予算審議です。
トランプ減税の継続や、債務上限の引き上げなどを巡って政治的な攻防が続いており、これも市場に大きな影響を与える要素となっています。


おわりに:経済ニュースを「自分ごと」として読む時代へ

関税、為替、金利、株価――。
こうしたニュースは一見、遠い世界の話に見えるかもしれません。
でもその影響は、日常の物価や雇用、投資にまでつながっています。

「なぜその政策が行われたのか?」
「それによってどんな市場の動きが起きるのか?」
「それが自分にどう関係するのか?」

こうした視点を持つことで、ニュースは“知って終わり”ではなく、“未来を考えるヒント”になります。
これからも、経済の動きを一緒に読み解いていきましょう。


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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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