2017年の生産緑地法改正における主な改正点
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生産緑地法は、都市部における農地の保全を目的とした法律です。2017年の生産緑地法改正により、生産緑地の保全が強化され、都市農業の振興や緑の空間の確保に向けた施策が進められました。この改正では、主に以下の3つのポイントが注目されました。
1. 指定面積の引き下げ
改正により、生産緑地地区の指定面積が引き下げられました。これまでは、生産緑地地区の指定面積は一律500平方メートル以上でしたが、改正により300平方メートル以上に引き下げられました。これにより、都市部で農地を保全しやすくなりました。具体的には、農地面積が単独で300平方メートル以上、または近隣に100平方メートル以上の農地が複数ある場合、それらをまとめることで生産緑地の指定を受けることが可能です。ただし、自治体によっては判断が異なる場合もあるため、各自治体の規定を確認する必要があります。
また、以前は指定を受けていた農地が一部解除されると、残った農地の面積が規模要件を下回ると全体が解除される「道連れ解除」という問題がありました。しかし、改正によりこの問題も解消されました。これにより、農地を保有する個人や農家が生産緑地を維持しやすくなりました。
2. 建築規制の緩和
生産緑地地区における建築規制も緩和されました。改正前は農業用施設に限定されていましたが、改正により農産物の直売所や加工施設、農家レストランなどの設置も可能となりました。これにより、生産緑地で産出される農産物を活かして新たなビジネスチャンスを創出することができます。ただし、生産緑地の保全と関係のない施設の建設は許可されていません。省令により、施設の規模や面積の基準が設けられており、生産緑地の保全を重視しています。
3. 特定生産緑地の創設
改正により、「特定生産緑地」制度が創設されました。この制度は、良好な都市環境や生活環境を確保するために必要な生産緑地の保全を目的としています。特定生産緑地の指定を受ける場合、指定後30年以内に申請を行う必要があります。指定を受けることで、引き続き農業を継続する義務がありますが、税制面の優遇措置が10年間延長されます。さらに、10年ごとに指定を更新することも可能です。特定生産緑地の指定により、固定資産税や都市計画税は農地評価・農地課税として扱われ、農家の経営安定や都市農地の保全に寄与することが期待されています。
まとめ
2017年の生産緑地法改正により、生産緑地の保全と活用が強化されました。指定面積の引き下げや建築規制の緩和により、都市部での農地保全が容易になり、農業経営や新たなビジネスの展開が促進されます。また、特定生産緑地制度の創設により、生産緑地の指定期間や税制面の優遇措置が延長され、農地の保全と都市農業の振興が図られます。このような改正により、都市部の貴重な「緑の空間」が守られ、持続可能な都市の実現に向けた一歩となります。