インボイス制度の登録急増、個人事業主が法人の2倍超へ

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2023年3月末までのインボイス制度の登録件数が累計268万件に達し、個人事業主の登録が3月に法人の2倍超となる18万1,032件を記録しました。これは、経過措置の効果や取引先からの要請、業務委託契約者の登録が押し上げたとみられます。しかし、依然として個人事業主の登録は法人に比べ進んでいない状況です。

個人事業主には、納税が免除されている課税売上高1,000万円以下の免税事業者が多く、企業に雇用されない個人の業務委託契約者も含めると、個人事業主の免税事業者数は法人数を大きく上回ります。これにより、業務委託契約者を含めた個人事業主の免税事業者から課税事業者への移行が遅れ、登録件数が押し上げられていると考えられます。

一方、支払側にも課題があります。企業を中心とした支払側は、免税事業者と取引を継続する場合、経過措置があるものの、いずれ税負担が増えることが予想されます。さらに、免税・課税と区分した請求書の管理などコスト負担も重くなります。制度開始に向けて、負担増の把握とともに免税事業者との取引中止を決定した企業が増えれば、取引を継続するために個人事業主の登録がさらに増加する可能性があります。

私の意見としては、インボイス制度の導入により、個人事業主や業務委託契約者にも大きな影響が及ぶことが予想されます。そのため、政府や関連機関は、制度導入に向けて個人事業主や業務委託契約者に対するサポートや情報提供を充実させるべきだと考えます。また、税負担の増加や請求書管理の複雑化に対処するために、個人事業主や業務委託契約者に向けた研修やセミナーの開催、オンライン上での情報提供やツールの提供なども検討すべきです。これにより、制度への理解を深め、適切な対応ができるよう支援することが重要だと思います。

また、インボイス制度の導入に伴う企業側の負担軽減策も必要です。例えば、税務に関する助成金や支援制度の拡充、税務ソフトウェアの開発や普及などが考えられます。これらの施策が実現されれば、企業が免税事業者との取引を続けやすくなり、結果的に個人事業主や業務委託契約者の登録も促進されるでしょう。

さらに、インボイス制度の導入が経済全体に与える影響についても慎重な検討が必要です。制度導入により、税負担が増加し、企業の業績に悪影響を与える可能性があるため、適切な対策が求められます。例えば、税負担の緩和策や、経済成長を促す政策を併用することで、制度導入の悪影響を最小限に抑えることができるでしょう。

総じて、インボイス制度の導入には、個人事業主や業務委託契約者、企業など、さまざまな関係者への影響が大きいため、適切な対応策やサポート体制の整備が重要です。政府や関連機関は、制度導入に向けて十分な情報提供や支援を行い、スムーズな移行が実現できるよう努めるべきだと考えます。