名投資家であるウォーレン・バフェット氏が、日本株への追加投資を検討していることが明らかになりました。バフェット氏は最近のインタビューで、日本の5大商社株への投資が現在7.4%に達していることを明かし、さらなる投資機会を探っていると述べました。
バフェット氏は、「現在は5大商社の株しか持っていないが、次の投資先は常に頭の中にある。価格次第だ」と述べ、日本株の割安感が高まったら追加投資に踏み切る考えを示しました。
バフェット氏が率いる米投資・保険会社のバークシャー・ハサウェイは、2020年8月に伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の5大商社株を5%超取得し、2022年秋にはそれぞれ6%台まで保有比率を引き上げていました。
アシンメトリック・アドバイザーズのストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は、バフェット氏が過去に米国の鉄道セクターに投資していることから、日本でも同様に鉄道セクターに資金を投じる可能性があると分析しています。また、割安感のある日本株は投資先として魅力的だと指摘しています。
この報道を受け、商社株は一斉に上昇しました。三菱商事株は一時前日比3%高となり、伊藤忠商事も3.2%高、丸紅が4.6%高、三井物産が3.7%高、住友商事が3.3%高までそれぞれ上げ幅を広げました。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、「明らかにこのニュースは相当株価にインパクトを及ぼしている」と語りました。
バークシャー・ハサウェイは現在、円建て社債の発行を計画しており、需要調査を実施中です。この件について浪岡氏は、「日本でニューマネーを調達して買うということで、日本のバリュー株に対して投資妙味を持っていることの表れだ」と指摘。国内外投資家が日本株投資を見直すきっかけになるだろうとの認識を示しました。
発行条件は4月14日にも決められる予定です。バークシャー・ハサウェイの円建て債は、2022年12月に総額1,150億円を発行した後、今回が6回目となる見込みです。同社は例年、資金の使途について詳細を公表していません。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は、「バークシャーに限らず海外の企業が円で資金調達することは、日本の金融市場に海外との接点ができるという点で良いことだ」と指摘しました。現時点では調達した円をドルやユーロにスワップする企業が多いものの、「日本に投資する企業が増えれば日本経済にとってもプラスになる」と述べています。
また、日本の金融市場は、日本銀行の植田和男新総裁による発言も追い風となっています。植田総裁は、就任会見でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策とマイナス金利政策について、いずれも継続が適当との見解を示しました。現行の緩和政策に急激な変更がないことを示唆したことで、市場に安心感が広がっています。
東京証券取引所が開示している海外投資家51社の株券売買状況によると、2022年12月時点では2,236億円の売り越しだったが、2023年1月には5,125億円、2月には2,218億円の買い越しに転じています。このような状況を受けて、日本株市場に対する投資家の関心が高まることが予想されます。