2023年4月7日、米国労働省は3月の雇用統計を発表しました。3月には23.6万人の雇用が増加しましたが、市場予想を下回る結果となり、労働市場が冷え込んでいることが示唆されました。一方で、失業率は3.5%に低下しました。
過去12ヶ月間で、労働市場は月平均約34.5万人の雇用が増加し、累計で410万人以上の雇用が増加しています。これにより、失業率は過去数十年で最も低い水準まで低下しました。
3月の雇用増加数は、2月の32.6万人(上方修正後)や1月の47.2万人(下方修正後)から減少しており、2020年12月以降で最も少ない月間増加数となりました。しかし、2010年から2019年の月間雇用増加数の平均が18.3万人だったことを考えると、現在の労働市場は依然としてパンデミック前の水準を上回っています。
レジャー・ホスピタリティ業界、医療業界、政府部門などが雇用の増加をけん引しましたが、小売業、一時雇用業、製造業、建設業、情報サービス業などでは雇用が減少しました。
一部の先行指標から、今後も労働市場の冷え込みが続く可能性が示唆されています。例えば、3月の労働時間は平均34.4時間で、前月の34.5時間からわずかに減少しました。また、一時雇用が減少し、建設業では2022年1月以来初めて雇用が減少しました。
労働力参加率は、25~54歳の労働力人口比率が前月比で83.2%に上昇し、パンデミック前の水準を上回りました。全体の労働力参加率も、前月比で62.6%に上昇し、パンデミック時代の最高水準に達しましたが、2020年2月の63.3%を下回っています。
3月の平均時給は前月比で0.3%増加しました。一方、前年同月比での賃金上昇率は4.2%に緩やかに減速しましたが、前月の4.6%から大きく変わりませんでした。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、労働市場からのバランスを求めており、今回の雇用統計はその方向に向かっていると評価されています。FRBは、今後もインフレ抑制のための利上げを続けると予想されており、市場の多くは次回の利上げで0.25ポイント上昇すると見込んでいます。
労働市場の冷え込みにも関わらず、雇用が継続的に増加し、失業率が低下していることから、労働市場の基本的な強さが示されていると言えます。今後の労働市場動向やFRBの政策によって、経済全体の成長がどのように影響を受けるかが注目されます。