自民党内では、防衛費増額の財源を巡り、予算の使い残しや税収の上振れなどで生じる決算剰余金の活用拡大を検討し、増税の延期を目指す案が検討されていることが分かりました。これは党関係者が8日に明らかにした情報です(共同通信より)。
新型コロナウイルス対策で膨らんだ2022年度の予備費で余った「不用額」が焦点となっています。しかし、財務省は財政健全化の観点から難色を示しており、年末の税制改正の論点になる可能性があります。
政府は、防衛費増額のため2027年度以降に必要とする約4兆円の追加財源のうち、決算剰余金の活用や歳出改革で約3兆円を捻出し、1兆円強を増税で賄う方針を立てています。増税の開始時期は「2024年以降の適切な時期」とされており、自民党の増税慎重派はできるだけ遅らせたい考えです。
財源確保策を検討する自民党特命委員会(委員長・萩生田光一政調会長)では、決算剰余金の活用拡大を話し合う予定です。この議論は、岸田文雄首相の衆院解散戦略にも影響を与える可能性があります。
特命委は1月に議論を始め、増税額の圧縮を模索しているものの、有力な財源確保策は見つかっていない状況です。そこで着目したのが、近年巨額の計上が常態化した予備費です。今後、自民党内で決算剰余金の活用拡大がどのように進むのか、注目が集まりそうです。