黒田総裁の退任会見 – 10年間の任期を振り返り、新体制への期待を語る

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2023年4月7日

本日、日銀の黒田総裁が10年間の任期を終えるにあたり、退任会見を行っています。政府は、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を明日(4月9日)付けで新たな総裁に任命することを決定しています。

退任会見では、黒田総裁が日銀総裁としての10年間をどう振り返り、植田新総裁が率いる新体制に何を託すのかを語ります。

会見は東京・日本橋本石町にある日銀本店で開かれており、本店9階の大会議室が会場です。黒田総裁は2013年に就任し、異次元の金融緩和を打ち出すなど、積極的な金融政策を進めてきました。

会見冒頭で10年間の成果を問われた黒田総裁は、これまでの大規模な金融緩和は適切だったと強調しました。しかし、「長きにわたるデフレの経験から賃金や物価が上がらないことを前提とした考え方や慣行、いわゆるノルムが根強く残っていたことが影響し、2%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現までは至らなかった点は残念だ」と述べました。

一方で、現状について「労働需給の面では賃金が上がりやすい状況になりつつある。また、物価上昇を賃金に反映させる動きが広がりを見せている。物価安定の目標の持続的安定的な実現に向けて着実に歩みを進めたということは言えると思う。大規模な金融緩和はさまざまな効果をあげてきている。これまでの政策運営は適切なものだったと考えている」と語りました。

後任の植田氏が率いる新体制については、「経済政策の運営や実務に関する豊富な知見を生かして組織をまとめ、日本銀行の使命である物価の安定と金融システムの安定に向けて手腕を発揮していただくことを期待している」と述べました。

さらに、「現時点では2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現には至っておらず課題として残っているが、賃金が上がりやすい状況になりつつある。先行きの経済・物価動向は、さまざまな不確実性があるのは事実だが、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標が持続的安定的に実現することを期待している」と強調しました。

これからの経済・物価の動向や金融政策については、新体制である植田新総裁が引き継ぐことになります。植田氏は経済学者としての実績と日銀審議委員としての経験を持ち、今後の日本経済を担う重要な役割を果たすことが期待されています。

黒田総裁の退任会見は、日本経済の将来に対する期待と懸念を改めて浮き彫りにしました。物価安定目標の達成に向けた取り組みは引き続き課題として残りますが、新体制による新たな金融政策の展開が注目されています。

経済の変化や国際情勢に柔軟に対応しながら、日本銀行の使命である物価安定と金融システムの安定に取り組む新総裁のリーダーシップが、今後の日本経済に大きな影響を与えることでしょう。新体制の日銀がどのような政策を進めていくのか、今後の動向を見守りたいと思います。